【 TOKYO2020 オリンピック報告記 】
十数年前に日本セーリング連盟の医事科学委員会委員となり、TOKYO2020オリンピックのセーリング競技(ヨット)のアスリート(選手)のメディカルサポートに携わりました。セーリング競技は江の島で行われました。 セーリング競技は馴染みがないと思われますが、オリンピックではウインドサーフィン含め、1~2人乗りのヨットが6種目で男女別もしくは混合です。選手用医療チームは、1日当たり、医師7名、看護師2名、理学療法士1名、ボランティア1名、事務1名の12名が担当します。
14日間の長丁場のため、supervisorの医師1名、オリンピック組織委員会に出向の事務1名を除き、残りのスタッフはシフトを組んで、交代制です。私はシフト組では1番多い11日間を土日中心に参加しました。セーリング競技は海上で行われる特殊性のため、レースエリアが医務室から遠いことから海上に医療スタッフを配置する必要があり、4台のメディカルボートが出艇します。このボートは、毎朝、近くの海上自衛隊の基地から江の島のハーバーに来て、ドクターを載せてレース海面に行きます。
1台のボートに海上自衛隊員3人(操縦する海上自衛隊員1人、衛生隊看護師2人)が同乗しています。その日のレースが終了すると基地に帰還します。海上自衛隊員は2チームから成り、陸上待機(隊長、2佐)を入れて、1チーム15人くらいでした。普段は自衛艦のような大きな船に乗っているので、メディカルボート用の小さなボートは不慣れらしく、2,3人の自衛官は船酔いをしていました。船や海上に慣れてないと務まらないので、メディカルスタッフのドクターは全て元ヨット部でした。
≪江の島メディカルの1日の流れを紹介します≫
7:00ホテルで朝食後出発、最初は茅ヶ崎のホテル、後半は藤沢。藤沢からは小田急線で3駅目の片瀬江の島駅下車、そこから、会場(venueと言います)までは歩いて20分です。
会場へのチェックイン(コロナ下)、体温測定、ID認識、顔認証、手荷物検査(空港と同じレントゲン検査)、レントゲンゲート。すぐ、チェックインセンターに行き、1日分の支給品を受け取ります。選手用医務室へ(それとは別に観客用医務室がありますが、無観客になったので、関係者用医務室へ変更)。毎朝、唾液によるPCR検査用の検体提出、自分のスマホで手続きする。陽性の場合のみ連絡くる。今朝はこのキットが足りないとの苦情が、ある国からあり。 ドクターは前もって、メディカルボート1~4か医務室勤務3人に振り分け。
9:15朝のミーティング、今日のレース艇種、レース海面、ボートの配置位置、配置人員、につき。 出席者:ドクター、ナース、理学療法士、海上自衛隊員、ボランティア。
風の状態により、出航時間が決まります、今日は11時でした。 昼食は昼食券(朝、チェックインセンターで渡される)持って食堂へ、今日は焼肉弁当でした。そのおかずに塩むすび2個かパン3個を選択、飲み物1個、タダで出てくる自販機で好きなのを出す、アイス1個。 メディカルボートが上がってくるのが、レースが順調に行われれば、17時頃、皆で片付けして、終礼、夕方のミーティング後、17:45くらいに解散です。
日本は男女470でメダルが期待されたのですが、残念ながら取れませんでした。 私がTOKYO2020に参加して得た自分の結論は、やってよかったです。
写真の説明 : 選手用医務室でニュージーランドのメディカルチームと。奥にドクター、向かって左手前がPhysio(Physical Therapist, PT)。
4月から当院に赴任した整形外科の高橋です。 ここに報告したように、専門はスポーツ医学を始めとして、膝関節外科、骨粗鬆症です。 もちろん、整形外科全般の診療を致しますので、よろしくお願いします。
整形外科医師 高橋 正哲
- POSTED at 2023年07月07日 (金)