令和5年 水無月 わかばコラム 

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医療コラム

令和5年 水無月 わかばコラム

【 通所リハにおけるリハビリテーションについて 】

 【通所リハにおけるリハビリテーションについて 】

 雨に紫陽花の花が鮮やかに映える季節となりました。  
介護施設にある「わかば農園」の畑では、じゃがいもやにんにくの収穫時期が近づいてきました。  
 さて、先月は通所リハビリテーション以下、通所リハのお話しでしたが、今月は、通所リハにおけるリハビリテーションについてお話しをさせていただきます。 一口に通所リハと言っても、施設によってその人員配置や設備は様々です。わかばの通所リハの特徴は、なんといってもリハビリ職員の手厚い人員配置です。理学療法士3名、作業療法士1名が常勤でおり、担当制のため、ご利用者にとって身近な存在でいられます。  

 一方、リハビリに関連する設備は、治療ベッド・平行棒・エアロバイク・机・機能訓練や日常生活動作のための道具類と意外に少なく、いわゆる筋トレマシーンは1台もありません。 訓練の効率性を考えれば、筋トレマシーンをいくつか導入し、それを組み合わせて提供すればよいのかもしれませんが、わかばではしていません。 その理由は、「触れる」ことを大切にしたいからです。 人の体は日々変化します。

●「調子はいいよ」と言っていても、足に触れるといつもよりむくんでいる、赤みもある。 ⇒何かが起きているのかな?
●肩や脚に触れるといつもより筋肉がこわばっている。 ⇒昨日家のことをがんばりすぎたかな?
●筋力トレーニングをする時にいつもより力が入らない、脱力感がある。 ⇒何かが起きているのかな?
●咳をするとあばらが痛いと言う。触れるとピンポイントで痛みがある。 ⇒骨折していないかな?
●脚を動かすと痛いと言う。服をめくってみるとあざがある。 ⇒昨日転んだのかな? 

 「触れる」ことで、私たちはご利用者の体からたくさんのサインをもらうことができます。1対1で向き合う時間の中で、療法士は多くの情報をキャッチし、フロアの職員と共有し、必要であればご家族に受診を依頼し、異変の早期発見につなげます。「触れる」ことは、リハビリそのものをする時にも大いに役立ちます。手を使うことで、その日の体調に合わせ、負荷量の調整が自在にできるのです。調子が良ければ強く、疲れている時は弱く、状態によって・部位によって、細かな調整ができます。 また、体の動きを引き出すための手、介助するための手・・・と何をするにも手を使います。 もちろん、使うのは「触れる」感覚だけではありません。見て、触れて、聴いて、嗅いでと感覚を駆使して、体の状態を知り、それに合わせて訓練をしています。

 わかばの通所リハには、脳血管疾患・骨折後・骨関節疾患・呼吸循環器疾患・神経難病と様々な体の不調を抱えながら在宅生活をしている方が通っています。 そのご利用者やご家族を通じて強く感じるのは、1日でも長く家で過ごしたい過ごしてもらいたいという 想いです。
その想いに応えられるよう、私たちは、私たち自身の体を通じて今日もご利用者と向き合っています。

 

リハビリテーション部 科長  宮野 陽子



  • POSTED at 2023年06月14日 (水)