【 神経難病のリハビリテーションについて 】
今回のコラムはリハビリテーション部の科長をしております松下太一が担当いたします。
当院でどのようなリハビリテーションを行っているのかを知っていただくために「神経難病のリハビリテーションについて」というテーマで書きました。
リハビリテーションについて
まず、リハビリテーションと聞いて何か思い浮かべるようなことはありますか?
骨折のリハビリテーションや脳梗塞のリハビリテーションが世の中には一般的になってきており、良くなるためにリハビリをするといったイメージが強いとは思います。けれどもリハビリテーションにはそれだけではなく、自分らしい人生を送るためのリハビリテーションという意味もあります。
神経難病の一般的なリハビリテーション
一般的な神経難病へのリハビリテーションとしては、安静状態が長期に続くことによって起こる、身体機能の障害である”廃用症候群”の改善を筋力トレーニングなどで図るとともに、移動手段として歩行器や杖、車椅子など、その時の状態に合わせた補助具を選定します。食事・整容・更衣などの日常生活動作においても、どのようにしたらできるかを考えながら訓練を行っております。
また、言語によるコミュニケーションが困難になった際に、身体機能に応じて文字盤やコミュニケーションエイドと呼ばれる装置などの代償手段を提供して、訓練を行うなど、医療・福祉機器を利用した療養生活環境の構築を目指します。さらに、嚥下能力の低下による誤嚥予防のために、嚥下機能のチェックや食形態・食事 方法を検討したり、息苦しいなどの症状がある場合に呼吸理学療法を行ったりします。
当院のリハビリテーション部での取り組み
一般的な神経難病のリハビリテーションだけでなく、近隣の施設にはない取り組みも行っています。 以下はその一例です。
- 医療用 HAL® 両下肢タイプ
- HAL® 腰タイプ
- パーキンソン病に特化したプログラム( LSVT®BIG ・ LSVT®LOUD)
- トランクソリューション ® や天井走行式免荷装置を用いた歩行練習
- LIC TRAINER、排痰機器を用いた呼吸理学療法
- 3Dプリンターによる自助具の作製
- 意思伝達装置などのコミュニケーションツール
ホームページでもその取り組みをのせてあります。見ていただけるとより具体的にわかると思いますので参考にしてみてください。
個人差もありますし、対象の疾患は限られますが、医療用HAL® 両下肢タイプは約 5 年間合計で 1500回程度の実績があり、歩行速度や歩行の耐久性の改善が得られたという報告もあります。
また、パーキンソン病に特化したプログラム(LSVT®BIG ・ LSVT®LOUD) も約 5 年間で 40 名程度の実績があり、効果も得られています。
病気の進行もありますので、長期的にみると徐々に進行してしまいますが、一時的に改善も得られているのは一つの効果としてとらえています。
最後に
まだまだ十分に確立していない分野だけに新しい知見から改善の可能性を探り、それを取り入れ試行錯誤していくことが重要だと思います。
今後もリハビリテーションを通して、皆様のより良い生活につなげていきたいと思います。
リハビリテーション部 科長 松下 太一
- POSTED at 2022年05月09日 (月)