コロナ感染 と 面会制限 緊急事態制限下での面会を解除した理由
私たち三誠会スタッフのミッションは、ホームページにも記されている通り【患者様・利用者様のすべての場におけるQOLの向上を目指します!】ということです。そのことについては何も変わりはありませんが、新型コロナウイルスの感染が拡大し、病院として感染を防ぐために「面会禁止」という対策を講じることとなりました。 面会禁止措置を講じた、その期間の中で、「QOLの向上」について考えなくてはならない出来事に遭遇し、その想いを患者様やご家族様と共有できたらと思い書かせていただきました。
QOLとは、《より多く》よりも《より良く》という価値観であり、私たちのミッションをクリアするためには、《毎日が充実し、心身が満たされた生活》を患者様にいかにして提供するかだと考えています。そして、それを実現するためには、病院スタッフと患者様ご家族との連携がとても大切になってきます。
コロナの感染拡大に伴い、2020年3月に2週間弱の最初の面会禁止を実施しました。 その後、北斗わかば祭等のご家族と共に楽しむ行事を中止しなければならない状況においこまれていきました。
2020年7月には再度面会禁止となった事で、間接的にでも話ができて、お互いの顔を見ることが出来たら、少しは安心できるだろうと、8月からリモート面会を始めました。
そのリモート面会の場で、色々なご家族の思いが垣間見えてきました。それは、ご家族の希望であったり、苦情であったりと切実な思いや願いでした。
『長い間美容師として活躍してきた間、長い髪をいつも綺麗に巻いていたので、髪をあまり短くしないでほしい。』『顔の産毛が伸びて、みっともないので剃ってほしい。』『耳の中が毛深いので、耳掃除をしてほしい。』等々の要望から、『この1年で、丈夫なはずの歯がこんなに抜けてしまった。』『こんなに痩せてしまった。』『認知症が進み、私や家族の名前さえ忘れてしまったけれど、こんなに早く認知症って進むものなの?』etc
ご家族が面会にいらした都度、していただいていたことが、スタッフだけでお世話をするようになってからは、充分に手をかけることが難しくなり、できないことが多くなってしまったと痛感した次第です。 また、患者様には面会禁止について、なかなか分かってもらえず、『家族に早く会いに来てほしい。』『外泊をしたい。』『うちに帰りたいから迎えに来てほしい。』『・・・が食べたいから持ってきてもらって。』『・・・さんからいじめられて、つらい。』と、直接ご家族に訴える場面も多くありました。
「面会禁止」という処置は、患者様とご家族、スタッフとご家族の距離も大きく離してしまい、大切なものを失ったような気がしています。
「コロナ感染」はもちろん怖いけれど、感染予防をしつつ面会禁止を解除する重要性を感じています。 以上の思いから、緊急事態制限下にありながら、条件付面会を開始した次第です。
- POSTED at 2021年10月11日 (月)