新年のご挨拶 病院長 杉本昌宏
新年あけましておめでとうございます。
年頭にあたり、ご挨拶申し上げます。
医者になろうと思ったのが小学一年生の時、本気で医学部を受けようと決意したのが高校2年生自分の理想の医療をやりたいと思ったのが34歳の時、そして38歳の時にこの病院を立ち上げる事ができました。 名も無い一勤務医が何をするんだと思われつつ始めた病院ですが、何とか10年間やってくる事が出来ました。 この10年間はたくさんの人に助けられ 職員の協力を得て、また患者や家族の方に助言を頂いたり色々と勉強をさせて頂きました事を お礼申し上げます。 北斗わかば病院は、現在 神経難病患者の受け入れができる、医療依存度の高い重症患者の受け入れができる、充実したリハビリを受けることができるといった 評価を頂いており、遠州地区のみならず、近隣の市町村からも 当院での診療を希望される患者が増え 一定の認知をされたと思っております。 今後も 当院を利用していただく患者や家族の方に、“ わかばで良かった ” と思って頂けるよう、これまで目標と掲げていた QOLの充実化を高めていけるように 努力を怠らないように致します。
さて、世の中はどうなのかと考えると、社会的に重視されているのは 2025年に超高齢化社会をどう迎えるのかという問題が迫ってきております。 更に問題なのは 認知症患者もそれにつれて増加することが予想され、2025年には認知症患者は700万人(高齢者の約20%)を超えるとされている事です。 認知症患者はその後も増え続け、2060年に800万~1000万人となった所で頭打ちになると予想されております。 現在報告されている海外のデータでは認知症に対する治療開始後10年後には約7割以上の患者が施設に入所しているとされており、そうすると 2025年には490万人分の認知症施設が必要になる計算となります。 これはどう考えても これだけの施設ができるとは思えず、国もオレンジプランと言われている認知症高齢者の地域での支えあいを実現化させる方針を打ち出したところです。 ここで重要となるのは地域内での様々な職種の連携は言うまでもありませんが、認知症の発症や進行の予防をどうするかという事です。 現在 当院に受診されている認知症の患者の内、仕事をしていたり、地域の集まりや介護サービスに積極的に参加されている方程進行が遅い傾向があり、実際 医療統計的にも裏付けされている事実です。 認知症治療薬も有効ではありますが限定的であり。 重要なのは人との交流機会を持つ事なのです。 しかし 認知症の方はこもる傾向が強い為、なかなか出て来てくれません。 そんな時に 近所の方々が誘い合って 気軽に集まれる場があれば良いのではないかと考えます。 当院のように地域へ根付き、認知症患者を多く診ている病院は、その様なコミュニティの場を提供することも役割としてあるのではないかと思っております。 また 高齢者や認知症のケアには 医療以上に介護が重要となります。 介護は在宅では家族の方がやられています。 当院には有資格者の介護士が大勢います。 この有資格者の介護士は、今後プロフェッショナルとして病院や介護施設で知識と経験を積み、在宅での介護の指導役としての役割を果たす必要があると思われます。 医療や介護の担い手にも人数的な限界があり、今後、互いが互いを助けてあっていく時代が来るものと思われ、そういった事を踏まえ、当院の役割を果たしていけるよう努力してきたいと思います。 以上で、新年のご挨拶とさせて頂きます。
- POSTED at 2016年01月13日 (水)