新年あけましておめでとうございます。年頭にあたりご挨拶を申し上げます。
2013年はQOLの向上を重視した医療・介護サービスを提供する事を目標にスタートしました。
実際病棟での患者様の病状の検討会等でも、以前に比べて“QOL”という言葉が聞かれる事が多くなりました。具体的な方法がはっきりしない中で、初めのステップとして、日々の生活における選択肢を増やす事を意識するようにしました。病院生活で最も手の付けやすい部分が食事の選択でした。食事のメニューにミキサー食だけでなく、嚥下食というミキサーにかけた物を、形態的に本来の魚や肉に似せて作る事で、少しですが通常の食事に似せる事が出来るようになりました。また一部では、食事時間も通常20~30分位が目安でしたが、患者様によっては1時間以上の食事時間を確保するように致しました。
しかし本来持っていなければならない選択肢は、食事だけでなくその日の過ごし方や将来そして人生の選択肢まで、拡大していかなくてはならないと思っております。
その為には職員全員が“患者様の人生の大切な時間を任せられている”という意識、“患者様とご家族の大切な時間を共有している”という意識を持つ事が大事であり、個々の患者様にとって何が大切で、何が必要なのかを一生懸命考え、感じ取る努力をしなくてはならないと思います。
またQOL向上の為には、患者様とご家族の方の“QOL”に対する理解も必要だと思います。
日本では“QOL”という言葉は、担癌患者の為に積極的に取り組まれてきた経過が有ります。しかし当院の多くを占める難病や慢性的な障害を持たれた患者様、所謂非担癌患者に対する“QOL”に対する土壌は成熟していないのが現状です。最近ではアルツハイマー型認知症を主とした認知症の患者が多くなる事で、認知症患者のQOLが積極的に検討されるようになり、それと同時に、他の非担癌患者におけるQOLも検討されるようになりました。我々の取り組みが単なる押しつけにならないようにする為にも、QOLに対する意識を患者様・ご家族の方と共有したいと思っております。その為に2014年は今迄以上に、患者様やご家族の方々とお話をする機会を多く持ちたいと思います。
色々と足らぬ点がございましたら遠慮なく申して頂き、皆様の手をお借りしてより良い病院になれますようご協力をお願い致します。
以上を持ちまして、念頭のご挨拶とさせて頂きます。
- POSTED at 2014年01月23日 (木)