【LIC TRAINERとは?】
LIC(Lung Insufflation Capacity)TRAINERとは神経難病の患者様に対して新しい呼吸理学療法の装置です。LIC TRAINERを使用した呼吸理学療法をLIC練習と呼びます。
<神経・筋の病気でおこる呼吸不全の特徴とLIC練習の効果>
LIC練習を行うことで…
- 肺・胸郭の柔軟性を保つことができる
- 発症早期から肺胸郭の柔軟性の維持が呼吸機能低下を予防する
- 球麻痺患者様の肺合併症の回避により生命予後が改善する
- 球麻痺患者様の肺合併症の回避により生命予後が改善する
- 上気道閉塞(声帯麻痺、咽頭筋・喉頭筋の変性、喉頭蓋による閉塞)の解除に役立つ
<LIC TRAINERの特徴>
- 自分で圧をコントロールでき、できる範囲で少しずつ陽圧に慣れます。
- 息ためを頑張ってする必要はなく、漏れない・リークしない設計が肺を広げるための圧力を維持できます。
- 高い圧力がかかると自動で脱気することから肺損傷のリスクを低減できます。
- 人工呼吸器を使う患者様にも実践できます。
- 電源を必要としないため災害時や緊急時においても使用が可能です。
<適応となる主な疾患>
運動神経の障害による進行性の呼吸筋麻痺で、胸郭運動が低下し、十分な吸気および呼気が行えず肺活量の減少が生じる拘束性換気障害の患者様が適応です。
また、病状の進行の過程でも適応が可能です。発症初期や進行期の適応に加え、病状が進行し、球麻痺症状や気管切開している患者様でも適応されます。
- 筋萎縮側索硬化症(ALS)
- 筋ジストロフィー
- ミオパチー
- 高位脊髄損傷
- 重症筋無力症
- ポンぺ病
- 脊髄性萎縮症(SMA)
- ギランバレー症候群
- ポリオ後症候群
- ニューロパチー
- パーキンソン病及び関連疾患
- 両側横隔膜神経麻痺
LIC練習の実施は必ず主治医と相談し、理学療法士等、適切な指導の下、実施してください。
<方法>
<当院での実施状況>
当院では以下の方に対して実施してきました。
- 筋萎縮側索硬化症 15人
- 高位脊髄損傷 5人
- 多系統萎縮症 2人
- 脊髄性萎縮症 1人
- 慢性進行性外眼筋麻痺症候群 1人
マスクの方が19人、気管切開の方が4人、マスクから気管切開へ移行した方が1人、その中で人工呼吸器を使用している方は10人います。
<当院での取り組み>
部署内で勉強会を行い、知識や技術の共有・向上を図っています。また、院外研修会や学会発表も行っています。